バレエ障害とセルフケア~足の捻挫を甘くみない~

バレエのレッスン中や舞台中なのでケガで、もっとも多いケガといえば「足の捻挫」

 

靱帯断裂を伴うような重症度の高いものから、ちょっとした軽症の捻挫まで多岐にわたりますが、

症状の大小に関わらず、捻挫から復帰したあとのリハビリをキチンとしておかないと、

足関節の安定性に支障をきたしてしまい、高い割合で他の運動障害を誘発してしまいます。

この状態は「慢性足関節不安定症(Chronic Ankle Instability=CAI)」と呼ばれていて、

一般的には「捻挫がクセになる」というような表現をしたりすることもあるようです。

 

ともあれ、この「捻挫グセ」が起こると一体どのような弊害があるのでしょうか。

 

まず、何といっても厄介のが構造的な不安定性です。

要は足関節がずっとぐらぐらしている状態。

構造的な安定性が低下してしまうと、足関節周辺の筋肉の機能も低下してしまいます。

 

例えば、ルルベやポワント動作での安定性が低下してしまい、アキレス腱に負担がかかりやすくなってしまうようなことが起こります。

これは足首を伸ばす動作で、構造的に関節が安定していないと周囲筋がきちんとバランスを保った状態で出力できなくなってしまうので、特定の筋肉に過負荷が生じることを意味します。

この状態が続くと、にアキレス腱炎や後方インピンジメントの発生リスクが増悪するのです。

 

それともう一つ。

それは、足部アーチの低下です。

足の関節が不安定になってしまうと、踵を接地した際に過回内(内捻じれ)してしまい、結果的にアーチを潰してしまうような動きが誘導されて、最終的には足部のロールインの原因になります。

 

もちろん、上記2つが原因で、膝の捻じれを生じたり、股関節が上手く開かないようになることもあるようです。

全ての障害の原因が足にある!というような物騒な話ではなく、足の構造上の安定性が、身体全体に及ぼす影響も考慮するに越したことはないということ。

 

では、足関節の安定性を獲得するにはどうすればいいのでしょうか。

 

まずは、壁の近く両手を壁につくようにして、真っすぐ立ちましょう。

この時の足の位置は腰幅で、左右の足は真っすぐ平行になるように気をつけてください。

次に両足の踵を支点にして、足底全体をゆっくり上げてみましょう。

足の指先から上げるのではなく、あくまでも踵を支点に足裏全体を持ち上げるようなイメージで。

全体のポイントとしては、足裏を上げる→キープ→下げるのペースを同じにすることです。

例えば、各3秒づつとか。

 

ここで一つ覚えておきたいのは、アキレス腱炎を発症したからといって、いきなりこの運動をやっても効果がありません。

関節の構造もそうですが、それがきっかけで筋肉同士の構造上の問題が発生するケースが多いからです。

あとは局所の問題(足関節の問題)にフォーカスしましたが、全体の問題(体幹の安定性など)も考慮に入れてリハビリを行うのが理想的だと思います。

 

足首の安定化をしっかりとおこない、素敵なバレエライフを送りましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

●柔道整復師、姿勢改善すこやか整骨院 院長●クリニックや整骨院勤務を経て、延べ1万人以上のアスリート、7万人以上の施術実績を持つ。 2014年4月に奈良県香芝市で開業(現在は御所市に移転)。『レントゲンでは異常なし』と言われるような症状を得意とし、皮ふの調整から体のバランスを整えるプロとして活動している。