バレエ障害とセルフケア3~パッセで詰まる股関節~

最近、パッセやグランプリエなどの脚上げ動作で股関節に詰まり感を訴えるダンサーを、続けざまに2人ほど診る機会がありました。

脚上げ動作での股関節の詰まり感に関しては、個人的にも臨床現場でよく出会う症例だと思います。

 

実はこの2人の運動機能評価で、ある共通点がありました。

 

・股関節の外旋が弱い

・トーマステストで詰まり感がある(仰向けで寝てもらい、股関節を片方づつ曲げていくテスト)

・体幹が強くない

何故このような状態が起こるのでしょう。

 

これらの多くは股関節のアライメント不良が原因して起こります。

そして股関節に関していえば、ほとんどが前方に変位してしまうケース。

この状態になってしまうと、股関節を曲げる際に大腿骨が股関節の前方でインピンジメントを起こすようになり、股関節の痛みや、ひどいケースになると関節唇損傷を起こしてしまうリスクも上がります。

そして、股関節を構成する骨が正しい位置に納まっていないと、股関節周囲筋が過緊張、もしくは機能亢進を起こしてしまい、結果として股関節がうまく使えなくなってしまいます。

そうすると、ターンアウトがうまくできなくなるばかりでなく、膝の捻じり込みによって膝関節に痛みが出たり、足部がロールインする原因にもなりかねません。

原因としては、股関節後方タイトネス、前方スティッフネスが多いようです。

椅子で座るときに坐骨で座らずお尻の面で座るようになると、臀筋が柔軟性不良を起こしてしまう、これがタイトネス。

立ち上がった時などに骨盤が後ろに傾きやすくなってしまい、股関節の前方が張りきった状態になってしまう、これが前方スティッフネスです。

例えるなら、小便小僧?のような姿勢に近づきます。

 

こうなると、パッセ動作をする際の体幹部からの持ち上げが弱くなってしまい、軸脚側へのカウンターが大きくなり、骨盤のスライドが大きくなるので、体幹での脚の支持力が低下します。

こうなると、身体のいたるところで代償動作が起こり始め、さまざまな運動障害を招くのです。

 

では、どのようにケアしていくのがいいのでしょうか。

まずは、何といっても股関節アライメントの修正。

股関節周囲をフォームローラーなどでリリースをするのですが、臀部や四頭筋だけではなくハムストリングや内転筋群、腸脛靭帯や膝から下にもリリースをしてください。

リリースは、ゆっくりと、いろんな方向、いろんな場所に対して行うように注意。

こうすることで患部以外の緊張感が下がり、結果的に患部に加わる負担も軽減されます。

 

リリースが終わった段階で、もう一度最初のトーマステストを行ってみましょう。

 

最初に出ていた詰まり感が消失、もしくは軽減していればOK。

全く変化のない場合はその部分に原因がない、もしくは、リリースが不十分だと考えられます。

 

その後の筋力強化は、股関節、体幹部を中心に。

 

痛みを改善して、素敵なバレエライフを送ってください。

 

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

●柔道整復師、姿勢改善すこやか整骨院 院長●クリニックや整骨院勤務を経て、延べ1万人以上のアスリート、7万人以上の施術実績を持つ。 2014年4月に奈良県香芝市で開業(現在は御所市に移転)。『レントゲンでは異常なし』と言われるような症状を得意とし、皮ふの調整から体のバランスを整えるプロとして活動している。