尾てい骨の成長痛?〜ある野球少年の話〜

尾てい骨の成長痛?〜ある野球少年の話〜

「お尻の尾てい骨が痛いんです、、、」

ある日、中学一年生の野球少年がやってきました。

歩いている様子も随分とおかしい。

そう、痛みのせいか普通に歩くことができなくなっていたのです。

今日は、成長期に多い尾骨痛のお話

「最初は練習後に違和感を感じる程度でした」

Wくん(仮名)は小学校2年生の頃から野球一筋の、いわゆる野球少年。

週末の練習日以外にも、自宅で素振りをしたり、走り込みをしたりとかなり追い込んだトレーニングをいていたようです。

小学校6年のある冬の日、練習後にお尻の真ん中あたりに違和感を感じたWくん。

その時は痛みもなかったので、親にも違和感を伝えることもなく放っておいたそう。

違和感も少しするとマシになってきたので、気にすることもなくなったとのこと。

「気がついたら、歩いても痛くなっていました」

そして中学に進学したWくんは、野球部に入って大好きな野球に没頭していきました。

練習は厳しかったそうですが、楽しかったと話してくれています。

しかし夏休みに入り、お尻の真ん中あたりに違和感が出現。

また同じようなものだろうと放っていたら、違和感は痛みに変化しました。

さらに、練習後に感じていたものが、練習中にも起こるようになり、バットを降っても球を拾おうとしゃがみこんでも、激しい痛みがWくんを襲ったのです。

そして、それを心配した親御さんがWくんを整形外科へ連れていきました。

そこでレントゲンを撮してもらいましたが異常なし。

「成長痛の一種でしょう」

「野球は痛みが治まるまでは休んでください」

「安静にして、2週間後に痛みが変わらなければ、もう一度来てください」

と、シップなどを処方されたようです。

実際に体をチェックしていくと、、、

とはいえ、野球を休みたくないWくん。

インターネットで当院を探し、親に連れて来てもらったというのがすごいですね。

実際に行った体のチェックから見てみましょう。

1.立位体前屈(立った状態から床に手がつくか?)=全くつかない。また、前屈により、尾てい骨に痛みも出ている。

2.体幹回旋(腰を左右に捻り、どこまで動くか見るチェック)=あまり動かない。また、回旋した時にも尾てい骨に痛みが出る。

3.しゃがみ込みテスト(かかとをついたまま者が見込めるかのチェック)=できない。また、途中で尾てい骨が痛くなる。

4.圧痛テスト(尾てい骨を圧迫して痛みが出るかチェック)=とても痛がる。

5.トーマステスト(仰向けの状態から股関節を曲げていくチェック)=痛みがあるがしゃがみ込みほどではない。

3と5は似ていますが、3は体重がかかり、5は体重がかからない。

ということは股関節の硬さや靭帯が引き伸ばされて出る痛みというよりも、尾てい骨以外の部分の動きが悪いので、結果的に尾てい骨を引っ張っているということになるのです。

ちょっと難しいですよね。

要するに、服の脇腹を下に引っ張って腕をあげると、肩が服で引っ張られてあげ辛く感じるのと同じようなものです。

では、この場合、どこの何が原因しているのでしょう。

要するに、皮膚の硬さが原因だった

尾てい骨を圧迫して痛みが出るかチェックしていた際、意外なことがわかりました。

うつ伏せで尾てい骨を上から触れると痛みが出ていたのですが、膝を曲げて再度同じチェックをして見ると痛みが軽減したのです。

ということは、太ももの後ろ側が緩めば痛みが軽減するよいうこと。

次はお尻の付け根の皮膚を引き上げながら触れてみると、

「あれ?あんまり痛くない」

僕が思うに、どうやら筋膜と呼ばれる「皮膚と筋肉の間の仕切板」に問題があって、その間にあった神経が摩擦によって痛みを出していたんでしょう。

要するに皮膚が硬くなって、尾てい骨を引っ張っていたんですね。

その後、Wくんは、、、

当院で整体を受けたWくんにセルフケアの指導をしました。

真面目な性格のWくんは、毎日きちんとセルフケアに勤しんだそうです。

1週間後には、腰を捻っても痛みはなくなり、2週間後には走ったりできるまで回復し、晴れて練習復帰。

何事も、早めの対応と日々のケアが大切ですね。

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ABOUTこの記事をかいた人

●柔道整復師、姿勢改善すこやか整骨院 院長●クリニックや整骨院勤務を経て、延べ1万人以上のアスリート、7万人以上の施術実績を持つ。 2014年4月に奈良県香芝市で開業(現在は御所市に移転)。『レントゲンでは異常なし』と言われるような症状を得意とし、皮ふの調整から体のバランスを整えるプロとして活動している。