【この記事は僕のFacebookで2019年8月に投稿したものを一部手直ししたものです。】
つい先日、女子中学生のバレエダンサーさんがやってきました。
「右前の5番で立つとヒザが気持ち悪いんですよねー」
とのこと。膝自体に痛みはないようですが、ただただ膝が気持ち悪いという訴えです。とりあえず状態を確認するため、実際5番ポジションをとってもらうことに。
見せてもらうと案の定、前足側の膝が極度にねじれているではありませんか。
「最近、足を普通の状態に戻してもヒザがねじれるっていうか・・・」
僕たち治療家から見ると動きのエラーは明らかで、この使い方を続けていると常時ヒザがねじれるという訴えもうなずけます。
では、どこに問題があったのか?僕と一緒に見ていきましょう。
まずは彼女の気になる動きをまとめると問題は大きく3つ。
- 前足(右足)のポジションを無理に決めてから体を持ち上げている
- 股関節の外旋(足をまっすぐそろえた状態から、外側にひねった状態)が甘く、膝に過度のねじれが生じている
- 骨盤が後ろに下がらないよう無理に大臀筋(お尻の筋肉)を使っている
まず問題1。
通常ターンアウトなどの動作をする場合、股関節をメインに動かすので股関節を外旋した場所に足裏がきます。しかし今回の場合は膝を少し曲げて足裏の位置を決め、それから膝を伸ばして5番のポジションを作っていました。
その結果、次の問題2である『膝の過度のねじれ』が起こります。なぜなら、足裏位置を決めたポジションが股関節の動く範囲を越えてしまっているからです。
例えば仮にポジションと股関節の動く範囲を数字にしてみましょう。
10(ポジション)=10(股関節の動く範囲)
のように、互いの数字が等しければで問題は起こりません。
しかし10(ポジション)>6(股関節の動く範囲)
のように、股関節がポジションよりも低ければ10-6となり、その差4がねじれとなって膝などの関節に負荷をかける。要するに足の位置を無理やり決めると、結果として一番膝に負担がかかるというわけです。
「普通のターンアウトもしんどいよね?」と聞いてみると案の定「はい、特に右が」という言葉が返ってきました。
確認のために股関節だけでターンアウトしてもらうと、右の外旋が左の2/3程しか動かない。なるほど、納得ですね。
最後に問題3
無理にターンアウトすると構造上骨盤が後ろに倒れやすくなるので、大臀筋や腹筋で何とか骨盤の位置を保とうとします。この緊張がかえってターンアウトの動きの制限になり、ポジションを取りづらくさせてしまうのです。
今回の問題である膝周囲とターンアウトの問題になっているであろう大臀筋をリリース。再度1番、5番ポジションをとっていただくと、
「おー!立ちやすい!!」
と喜んでいただけて何よりでした。
さて、クライアントさんが帰ったあと、佐藤愛さんの『バレエの立ち方できてますか?』を読み返してみると、こう書かれてありました。
つまり、股関節からのターンアウトが身についていない人は5番ポジションまで進めない!
バレエの立ち方できてますか? 佐藤愛 著 より引用
なるほど、納得です。
こういったケースは現場でもかなり多く目にするので、また別の機会にブログで解説しようと思います。
この記事を読んで「もしかしたら・・・」と思ったあなた、一番ポジションで確認してみましょう。
そして、バレエの立ち方ができていないと思ったあなた、佐藤愛さんの本を手に取ってみてください。
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●柔道整復師、姿勢改善すこやか整骨院 院長●クリニックや整骨院勤務を経て、延べ1万人以上のアスリート、7万人以上の施術実績を持つ。
2014年4月に奈良県香芝市で開業(現在は御所市に移転)。『レントゲンでは異常なし』と言われるような症状を得意とし、皮ふの調整から体のバランスを整えるプロとして活動している。