尾てい骨の痛みと成長痛について考える〜その原因は?〜

久しぶりの更新です。

さて、当院へのお問い合わせで意外とお悩みがあります。
それは『尾てい骨の痛み』、尾骨痛です。

今日は当院に来られるクライアントさんたちの症状や特徴、実際の施術例などをご紹介して行きましょう。

尾骨痛ってなんだろう?その原因は?

尾骨痛とは、文字通り尾骨周辺で出る痛みのことです。

発生する年齢で、当院でも多いものは小学校高学年生から中学生。

二次性徴期時に多いイメージがあります。

ですが一般的には『成長痛』とだと誤解されている方が多いようです。

 

では、まずは成長痛について説明して起きましょう。

実は成長痛という障害はありません。

成長期の子どもに多くみられる症状であることからつけられた俗称のようなものです。

ここでいう『成長痛』とは、例えば子どもが夜に膝が痛いと泣き出して、さすってあげると痛みがなくなったり、翌朝にはケロッと走り回っていたりするようなもの。

1週間以上継続して痛むようなことはありません。

 

では、尾骨痛は成長痛ではないのか?

スポーツドクターの芳村直先生のホームページ(リンク)にはこう書かれています。

【いわゆる骨端症(こったんしょう)とは、成長期に成長期に成長軟骨の部分で障害を起こす病気ですが、特にスポーツによって起こりやすくなります。】

芳村整形外科医院 みんなのスポーツ医学』参照

ここでいう『骨端症』とは「成長期に起こりやすい痛み」であり成長痛のことではありません。

【成長期に成長軟骨の部分で障害を起こす】の障害とはケガのようなもの。

成長期での運動時にみられるこういった「成長痛かな?」と思うような症状のほとんどは、放っておいて解消するようなものではなく、悪化の一歩をたどるような障害である場合が多いのです。

 

ではなぜ痛みが起こるのでしょうか?

それは成長期では骨が伸びるのが早く、筋肉などはそれに引っ張られて成長して行くため、筋肉がくっついている部分に過度なストレスがかかるため、というのが一般的な見解。

しかしながら、当院に来られるクライアントさんをチェックしてみると、多くは皮膚の柔軟性が下がり、筋膜と呼ばれる組織が硬くなることで痛みを引き起こしているケースが圧倒的に多いです。

症状とグレードの目安

他の成長期にみられる障害などの目安の考え方と、当院でのデータを元に、痛みの程度(グレード)や症状によって3つの段階に分類してみました。

グレード1:運動後に痛む

・スポーツ中に特定の動作で違和感がある。

・スポーツ後に痛みが出るが、そのうち消える。

グレード2:運動中も痛む

・走る、ジャンプなどの動作で痛む。

・しゃがみ込む、座ると痛い。

・スポーツ中に痛み、終わると痛みが増してくる。

グレード3:日常生活に支障が出る

・歩いても痛い。

・長時間座れない。

・しゃがみ込めない。

・寝返りすると痛い。

『オスグッド・シュラッター病の症状の程度』参照

当院での症例と復帰までの期間

以下は、当院に来られた尾骨痛のクライアントさんの競技復帰までの期間の統計です。

2週間  88

3週間程度  7

4週間~   3

途中離脱   2

当院施術データ調べ

もちろん、実際に体をチェックをしないとわかりません。

あくまでも実績からの目安としてご参照ください。

では、当院の施術例をご紹介します。

下の動画は当院での調整前後のものです。

初回の動作チェックで彼女はグレード3

日常生活に支障が出るレベルでした。

観ていただいた通り、しゃがみ込みもできていません。

施術後はしゃがみ込みができるようになりました。

その他の症例に関しても、以前のブログにてご紹介しております。

尾てい骨の成長痛?~ある野球少年の話

バスケットボールでの尾てい骨の痛みと足首の柔軟性

痛みの要因になっていた場所ときっかけ

原因の項目でもお話ししましたが、当院に来られるクライアントさんをチェックしてみると、多くは皮膚の柔軟性が下がり、筋膜と呼ばれる組織が硬くなることで痛みを引き起こしているケースが圧倒的に多いです。

下の画像は身体図、赤く囲んだ部分が痛みが起きている場所、そして黄色い部分は痛みを引き起こす要因になった場所。

多くの場合は痛みから離れた場所に問題があり、そこから患部を引っ張ることで症状を悪化させていました。

じゃあ、何がきっかけで皮膚の柔軟性が下がり、筋膜と呼ばれる組織が硬くなるのでしょう?

それはケガの放置や、サポーターでの圧迫などで皮膚の柔軟性が下がったと考えられます。

また、当院で尾骨痛を訴える人の多くは、膝の成長痛を経験しています。

この段階で、膝周辺の皮膚は硬くなるのでそれも要因として考えられるのです。

筋肉に問題がある場合は、筋肉を緩めてあげれば症状は消えるでしょうが、それで消えない場合は皮膚の柔軟性を疑った方が良いでしょう。

お子さんの脚、ご自身の脚と比べてパンっと張った感じがしませんか?

院長の雑感

当院に来られる方の多くはグレード2以上です。

グレード1の状態では受診しないケースも少なくありません。

問診の際にグレード1だったときのことを振り返ってもらうと、大抵はこういったコメントが帰ってきます。

「部活の後は痛いけど、痛みは消えるし大丈夫だと思った」

「なるべく部活は休みたくないし、レギュラーを外されたくないから」

また、親御さんの多くも、

「本人が大丈夫だというので様子を見た」

「放っておいても、じきになるだろうと思った」

と、グレード1の段階では様子を見る傾向があるようです。

グレード1の段階から症状がなくなった方は当院には来られないので、全体の何%が上のグレードに以降するのかは正直わかりません。

ただ、グレード1でもストレッチなどの柔軟やセルフケアを欠かしていると、ほとんどが悪化して行くことは間違いありません。

「どうせ成長痛なんだから、放っておいても大丈夫!」

などと油断せずに、しっかり専門家に診てもらう事を強くオススメします。

ABOUTこの記事をかいた人

●柔道整復師、姿勢改善すこやか整骨院 院長●クリニックや整骨院勤務を経て、延べ1万人以上のアスリート、7万人以上の施術実績を持つ。 2014年4月に奈良県香芝市で開業(現在は御所市に移転)。『レントゲンでは異常なし』と言われるような症状を得意とし、皮ふの調整から体のバランスを整えるプロとして活動している。