・ジャンプから着地の際に、膝が痛い。
・グランプリエの動作途中に膝が痛くなって。
と、いうようなお話をバレエダンサーの皆さんからよく耳にします。
そもそも、どうしてこのような症状が出やすいのかというと、やはりバレエダンサー特有の
「ターンアウト」という動作に集約されているような気もします。
多くの一般ダンサーは股関節をうまく機能させるのが苦手なようで、股関節の可動を膝関節でかばうように動作することが多くなるため、膝関節に過度の捻転力(捻じれる力)が加わり、結果的に膝下の脛骨という骨が外側方向に向いてしまう状態(下腿外旋位症候群といいます)に陥るのです。
そのため、前十字靭帯や内側半月板にストレスが過度に継続して加わることから、両部位の損傷リスクが大幅に上がってしまいます。
今回はターンアウト、表現動作としての膝と足の位置関係には触れません。
(表現動作についての脚の位置関係について詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください→こちら)
ただ、膝の構造上の特性を理解してるだけでも膝関節障害のリスクを下げることは可能だと思うので、参考にしていただければ幸いです。
では、どんな膝がストレスがかかりやすい膝なのか、簡単にチェックしてみましょう。
まず、両側の膝を90°くらい曲げてみてください。
ここでチェックするポイントは、太ももに対して膝下の骨のふくらみがどの位置にあるのか?ということです。
画像を見てみましょう。
膝下の骨のふくらみが左ひざ(写真右側の膝)よりも右ひざ(写真左側の膝)側の方が
外を向いてしまっているのがお分かり頂けるでしょうか。
ここでの基準は太ももの内外を結んだ横のラインに対して、その二等分線上に膝下の骨のふくらみがあれば正常、膝下の骨のふくらみが二等分線上よりも外側にあれば注意が必要です。
また、足を前後にして前の脚に体重をかけながら踏み込んでみましょう(フロントランジ動作)。
北海道のバレエ専門トレーナーのモーリーこと森脇先生のブログから転用させていただきました。
画像左側では、股関節・膝関節・足関節がそれぞれ同軸線上(一直線)にあるため、膝に掛かるストレスはあまりありませんが、真ん中・右側の画像ではそれぞれ下肢軸(股関節・足関節を結んだ軸)上に膝がないため、膝周囲や関節内に過度のストレスが加わり、痛めてしまうリスクが増大します。
ここで注意したいのが、この動作テストの場合、膝の固有の問題というよりもむしろ足部・足関節の問題や股関節の問題がでやすいので、ニーイン・トゥーアウト=膝だけの問題ではないということ覚えておくとよいでしょう。
とにかく、簡単な動作でテストした段階で膝に捻じれストレスが加わるということは、運動負荷の高いバレエ動作では、この何倍ものストレスが継続してかかり続けるということなので、ひとつの目安になるということは間違いありません。
こういった場合、どのようなエクササイズが好ましいの?
というお話ですが、われらがDLSの愛さんこと佐藤愛先生がVMO(大腿内側広筋斜頭線維)について書いておられます→こちら
僕個人もVMOは大切な部分だと思うので、筋力強化としてのとっかかりはVMOからでいいと思います。
ただ、ひとつ注意が。
膝関節周辺は組織の癒着が多く、せっかく膝を内側に引っ張る筋肉を鍛えても、外側へ戻そうとする働きが残ってしまうケースが多く、またこの癒着が原因でVMOがうまく入らない(上手に筋力強化できない)という事例もみてきました。
まずは、膝周辺のセルフリリースを行い、その上でVMOを鍛えられることをおススメします。
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●柔道整復師、姿勢改善すこやか整骨院 院長●クリニックや整骨院勤務を経て、延べ1万人以上のアスリート、7万人以上の施術実績を持つ。
2014年4月に奈良県香芝市で開業(現在は御所市に移転)。『レントゲンでは異常なし』と言われるような症状を得意とし、皮ふの調整から体のバランスを整えるプロとして活動している。
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