膝が痛くて音がするという女性

「歩くとひざが抜けそうになる」という80代のおばあさん。

近所はあぜ道などの未舗装な道も多く、買い物に行くのも困難だといいます。
杖とサポーターで固めてやっと歩くことはできるのですが、日常生活での不具合が日に日に増して行きました。

整形外科でも、定期的に注射をしていただいているそうなのですが、回復の兆しは見えず、困り果てた息子さんが、当院を見つけてやってきてくれました。

変形性ひざ関節症ステージ3(0から4まであって4段階目。関節の間はかなり狭い状態)と呼ばれる段階で、右膝が60°程度しか曲がりません。また、伸ばそうとしても20°くらいまでで、完全伸に伸びきることはありませんでした。
無理に曲げようとすると痛みが走り、正座も10年以上していないとのこと。
 

「お医者さんや、健康書などで学んだストレッチや健康法を全て試してみたのだけど、いまいち効果はありませんでした」

 

と、息子さん。

 

さて、今回のこのお膝、一体どこがどうなって動かなくなったのでしょうか?
 

 
体をチェックしてわかったこと

 

まずチェックしてわかったことは、ふくらはぎの外側と太ももの前内側の筋膜が硬くなっていたということでした。
長期間サポーターをしていたからなのか?元々の習慣で負担がかかりやすくなっていたのか?
 
とにかく、この部分を柔らかくしてみると、曲げ伸ばししやすくなりました。

そしてもう一つのお悩み、『膝が抜けそうになる』という訴えです。

 

曲げ伸ばしをすると、膝のどこからか「パキッ」という異音がします。
よくよく聞いてみると膝のお皿から発していることがわかりました。
 
とりあえずお皿の動きをチェックしてみると、左側に比べ、かなり動きが悪くなっているのがわかります。

もう一度体をチェックしてみると、今度は太ももの前側の筋膜も硬くなっていることに気づいたのです。
 
何度かに分けて、硬くなっている部分を柔らかくしてみると、膝も、お皿の動きも随分と良くなりました。

今では、杖に頼ることもなく、スタスタと歩きながら当院にやってきてくれています。

 

息子さんも、「前ってこんなにスタスタ歩いてましたっけ?」と笑うほどに。

買い物も日常生活も、随分と快適になったようで本当によかったです。 
 


 

膝の変形と痛みは比例しない

 
一般的には、『膝の変形が進めば進むほど悪い』というイメージをお持ちではないでしょうか?

確かに、『変形が進めば進むほど、不安定になっていく』という意味では、おおよそ間違ったイメージでもないように思います。
 
ただ、今回のように膝の変形具合が痛みの原因ではないケースも多く存在します。
では何が原因なのか?

 

それは『筋膜』です。
 
膝を曲げ伸ばしする際に、筋膜が動きの邪魔をしてしまい、動きに制限を作ったり神経を引っ張ったりするので痛みを生み出したりします。
 
関節が悪いのかと思っていたら、実は筋膜だった。
ただ、どちらに問題があるのかは、きちんと専門家にチェックしてもらう必要がありますね。

 

一番大切なことは、日常生活に支障をきたし切る前にこの見極めを行うということでしょうか。
うちの親の膝もきになるというあなた、まずはお気軽にご相談ください。

ABOUTこの記事をかいた人

●柔道整復師、姿勢改善すこやか整骨院 院長●クリニックや整骨院勤務を経て、延べ1万人以上のアスリート、7万人以上の施術実績を持つ。 2014年4月に奈良県香芝市で開業(現在は御所市に移転)。『レントゲンでは異常なし』と言われるような症状を得意とし、皮ふの調整から体のバランスを整えるプロとして活動している。