保持力が落ちるにも原因がある(Aさん 一般クライマーの場合)

最近、嬉しいご報告がありました。

 

 

 

 

「持てなかったスローパーが、持てるようになりました」

 

「なんか前に比べて、背中で引く意識がついた気がします!」

 

 

 

 

Aさんは、一般のクライマーさん。

 

週2、3回ほどジムに練習に通っています。

 

さらに週一、自宅でトレーニングをしていました。

 

 

 

 

これを一般のクライマーさんと区分していいのかわかりませんが(笑

 

 

 

 

ともあれ、そんなAさんのお悩みは、

 

「スローパーを持つと手に力が入らない」

 

という現象でした。

 

要するに『保持力が落ちた』ということ。

 

 

 

 

「特に右腕に脱力感を感じるんです」

 

 

 

 

ということで、ケガや故障の履歴を聞いてみました。

 

左足首の捻挫、腰痛、右の肩の故障と、ケガや故障のオンパレードでした。

 

案の定、特に腰部付近、右肩周辺の皮膚が硬くなっておりリリースすることに。

 

 

 

 

「あれっ?先生、なんかイケる気がします!」

 

「いやいや、ちゃんと登ってみてからにしてください(笑」

 

 

 

 

セルフケアを処方し、1週間後、再来院した際には冒頭のあのセリフというわけです。

 

じゃあ、一体、Aさんに何が起こっていたのか?

 

ちょっと検証してみましょう。

 

 

 

 

まず、筋肉って伸び縮みするから運動が起こります。

 

この筋肉には起始部(スタート地点)と停止部(ゴール地点)があり、ゴールからスタート方向へ動くから筋肉は縮む(収縮)のです。

もちろん、これは正常な状態。

 

しかし、Aさんの場合はどうだったでしょう。

 

 

 

 

皮膚が硬く、筋肉を取り巻く部分が干渉してしまって、運動を邪魔していることが想像できます。

 

そうすると、単純に力の発生に無駄な筋力を使うわりに、力が入りづらいということが起こるのです。

 

 

 

 

腰痛に関しても、背中で引けない部分を、腰でかばっていたと考えられます。

 

 

 

 

そういうわけで、以下の箇所に対して筋膜リリースを行いました。(赤丸は症状、黄丸はリリース部位)

 

もちろん、体は正直です。

 

自分の体に一番適した動きを自動的に選択します。

 

だから「イケる気がします」という感じになるんですね。

 

 

 

 

今回のAさんのような症状が出るにはいくつかの要因が考えられますが、今回ポイントになったのは肩・腰への負担だったことは、結果から見ても間違いないようです。

 

やはり日頃からのセルフケアって大事ですね。

 

皮膚が硬くなるには、ケガなどによる炎症や、使い方の癖による患部へのストレスが考えられます。

 

ちょっとしたケガだと思って放置していても、表面上は「治る」のです。

 

しかしながら、構造的に治っているのかというと表面からは見えないので、素人判断に陥りやすくなってしまうことも少なくありません。

 

Aさんのように、保持力が落ちてきたなぁと感じたら、放置せずに早めのケアをオススメします。

 

保持力低下を解消して、楽しいクライミングライフを!

ABOUTこの記事をかいた人

●柔道整復師、姿勢改善すこやか整骨院 院長●クリニックや整骨院勤務を経て、延べ1万人以上のアスリート、7万人以上の施術実績を持つ。 2014年4月に奈良県香芝市で開業(現在は御所市に移転)。『レントゲンでは異常なし』と言われるような症状を得意とし、皮ふの調整から体のバランスを整えるプロとして活動している。