こんにちは、奈良県香芝市の姿勢改善すこやか整骨院、院長の杉山です!
先日、名古屋の藤田先生の「医療者サイドの腕立て伏せ」という記事を読んでいて、ふとこんなことを思い出しました。(参照記事:医療者サイドの腕立て伏せ)
「そういえば、コンペ前にストレッチをして欲しくないって言ってるけど、ちゃんと数字を取ってなかったなぁ。」
クライミング前のストレッチは有効なのか無効なのか。世の中にはいろんな考え方があって、どの考え方を支持するのかということだけではあるのですが、僕個人としては、スポーツクライミングのコンペ前にストレッチをするのは反対です。なぜなら、保持力が落ちるから。今日は、ストレッチと保持力の関係についてのお話しです。
試合前のストレッチがパフォーマンスを落とす!?
ここでいうストレッチ=スタティックストレッチ(静的ストレッチ)のこと。これに関しては以前に書いた「ボルダリング初心者にありがちなセルフケアの間違い」で詳しくお話していますが、結局のところ試合前には『スタティックストレッチ』(※ここでは以後、ストレッチと呼びます)をオススメしていません。
なぜなら、試合前にストレッチをやり過ぎてしまうとインナーマッスルまで伸ばしてしまい、関節が不安定になってしまうからです。
関節の状態が正常でなくなると、筋肉も正常に作動しなくなる。その結果、筋肉の出力も落ちてしまいます。いつも試合に行くと、故障選手に限って入念にストレッチしているような気がしますが、この場合、むしろ逆効果かもしれません。
では、実際にどれくらいの変化があるの?
先日、当院で勉強会を開催していたのですが、ふとこの事を思い出し、計測してみる事にしました。
今回の計測はズバリ「保持力≒握力」です。
お願いした先生は全員で5人。いずれもクライミング経験はありません。また、事前に何の説明もなく「握力を測らせて欲しい」とお願いしました。計測方法は次の3通りで、デジタルの握力計を使用しています。
1:まず通常の握力を計測
2:手首のストレッチの後に計測
3:動的ストレッチ後に計測
では、まずは結果から書いていきます。左から1、2、3の結果です。
A:45、8 43、7 47、0
B:33、4 35、4 37、5
C:36、6 36、3 37、5
D:27、2 27、1 29、4
E:48、3 44、8 42、7
この結果を見てどう思われますか?
実に5人中4人で、ストレッチ後の握力低下を確認することができました。そして一番右側の数字。これも5人中4人で握力の上昇がみられたのです。
そしてこの、握力を上げたストレッチが「動的ストレッチ」なのです。
「動的ストレッチ」とは?
動的ストレッチとは、体を大きく動かしながら筋肉に刺激を与え、筋肉を必要以上に緩めないで関節の動きを安定させるストレッチ法。
特にボルダリングや野球、サッカーのような瞬発力を必要とするスポーツには適しているといえます。ような例えば「ラジオ体操」なんかも動的ストレッチなんです。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、野球の前田健太選手が投球前のルーティーンで行っている「まえけん体操」なんかも、投球前に肩甲骨の動きを上げるために行っている動的ストレッチ。
ちなみに「まえけん体操」ってこんな感じです。
こうやって関節を動かすことで筋肉に緩急をつけ、適度な柔軟性と、安定性を身につけることができます。イメージがつきましたか?
こんな方法でも握力は上がる
動的ストレッチ以外でも、握力を上げる方法はいろいろあります。せっかくなのでここで実験してみましょう。まずは僕の握力をご覧ください。
いや、本当にお恥ずかしいのですが、全力でこの程度です。一応クライミング歴は4ヶ月程度あるんですよ(苦笑
で、そのあとインターバル(約15分)を置いて、こんなことをしてから再計測したところ、、、
35、4kg
実は関節にはセンサーが存在します。関節に衝撃が加わると、関節を保護するために関節を緩めないように保護します。結果的に関節が安定するので、筋力も正常化しやすいというカラクリです。
今日のまとめ
ボルダリングはダイナミックな動きの多いスポーツです。そのため、ウォーミングアップとしてストレッチをおこない過ぎると、結果的にはケガや故障の原因にもなりかねません。
特に練習や試合前には、関節を安定させることのできる「動的ストレッチ」をオススメします。
ボルダリングをもっと長く、強く、楽しめる体へ。
杉山典之でした!
PS:
「もっと保持力をあげたい!」「パンプしにくいからだを作りたい!!」
そんなあなたは、まずは当院の整体をおススメします。
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●柔道整復師、姿勢改善すこやか整骨院 院長●クリニックや整骨院勤務を経て、延べ1万人以上のアスリート、7万人以上の施術実績を持つ。
2014年4月に奈良県香芝市で開業(現在は御所市に移転)。『レントゲンでは異常なし』と言われるような症状を得意とし、皮ふの調整から体のバランスを整えるプロとして活動している。